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パートナーコラム 紺野真理の「海軍におけるマネジメント」
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第24回:時刻の表記(呼称)

※以前書かせていただいた「海軍におけるマネジメント(艦隊勤務雑感)」を
復刻版としてメルマガに載せてみたところ、意外にもご好評をいただいたため、
退職後19年を経過した現在の私が当時を思い起こして感じていることを書かせて
いただきました。これまでのものと同様に、私のわずかな経験の中で見聞きした
ことを、特に明確な意図というものはなく、何となしに書いてみたいと思います。
「艦隊勤務雑感」という副題も、あえてそのままとさせていただきます。
むろん、艦隊勤務を本望として20年間生きてきた私のことであり、主に艦「ふね」
(以後「艦」と「船」がごちゃごちゃに出てまいりますのであしからず)や
海上自衛隊にまつわることでお話を進めたいと思っております。

みなさん、自衛隊というと時刻の表記方法(呼び方・唱え方?)によって一般の
企業との違いを感じるのではないでしょうか。
普通の会話では、私たちは「会議は朝の8時からです」とか「夕方5時で終ります」
などという言い方をします。ちょっと公的なところでは「開始時刻は午後3時です」
などといいます。更には、24時間表記をして「会議は15時からです」などと言って
いますよね。書かれたものとしても「15:00」などと書いています。
ところが自衛隊では、陸・海・空共通して、午後3時、すなわち15時というときには
「:」は省略され、「1500」と書いて「ひとごーまるまる」と呼称します。朝の8時は
「0800」(まるはちまるまる)、正午は「1200」(ひとふたまるまる)です。
真珠湾攻撃開始を発令した有名な「新高山登れ1208」の電文は、
「ニイタカヤマノボレ ヒト・フタ・マル・ハチ」であったわけです。
基本的な読み方としては、
「0:マル 1:ヒト 2:フタ 3:サン 4:ヨン 5:ゴ- 6:ロク 7:ナナ 8:ハチ 9:キュウ」とな
ります。数字は、日付や時刻や針路、距離、深度、速力などいろいろな局面で使用される
ものですが、要は、船乗りとして、艦上で、艦相互に、あるいは艦と航空機の間で正しく
伝達する事が基本であり、聞き間違いの少ない読み方をしているものと考えられます。
ただし、単純に1桁毎の読みを繋ぎ合せているようですが、艦の速力や距離を言う場合は、
「20ノット」を「フタジュウノット」、「1500ヤード」を「センゴヒャクヤード」と
2桁、3桁、4桁をそのまま読んでいますので、このような呼称は、主として時刻だけに
使っているようです。時刻の錯誤、誤りというものに対しては、より厳しい認識を
持っているということの表れかもしれません。

私は退官後20年近くなって普通の言い方にも慣れましたが、退官直後は、なかなかこの
呼称や表記から離れることが難しく、かなり意識して一般の言い方に慣れようとしたこと
を思い出します。海上自衛隊の同期生(江田島の幹部候補生学校の同期生)が集まっての
ゴルフの定例会を月に1度行っていますが、その際には、「後半のスタートは1135(ひとひと
さんごー)ですよ」「今度のクラス会は○月△日の1830(ひとはちさんまる)からですよ」
などと、当然のようにやりとりがなされています。長い間に培われ、身についた習慣という
ものなのでしょうか。また、メモなどに使用するにはことのほか便利であり、自分だけの
メモの場合、特にパソコンを使っている時には、「:」を省略して4桁の数字だけで表記する
ことは、私の中では現在も続いております。近年携帯メールでのやりとりが増えていますが、
携帯メールにおける時刻表示はこのように4桁の数字だけで行っている向きも多いことと思い
ます。ただ、このような言い方をしている組織や人たちを客観的に見た場合、その時刻の表記、
呼称は極めて合理性に富んでいるものではありますが、どこか味気がない、あるいは冷たい
ような感じがするのですが、みなさまはいかがでしょうか。

次回は、同じ時刻でも、時刻表記(呼称)ではなく、時差の違いによる使用時刻帯について
書かせていただきたいと思います。
皆さんは、JST(日本標準時)とGMT(グリニッジ標準時)の違いは良くご存知だと思いますが。

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