第17回:東北地方太平洋沖地震に思う « 個人を本気にさせる研修ならイコア

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パートナーコラム 紺野真理の「海軍におけるマネジメント」
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第17回:東北地方太平洋沖地震に思う

※以前書かせていただいた「海軍におけるマネジメント(艦隊勤務雑感)」を復刻版としてメルマガに載せてみたところ、意外にもご好評をいただいたため、退職後19年を経過した現在の私が当時を思い起こして感じていることを書かせていただきました。これまでのものと同様に、私のわずかな経験の中で見聞きしたことを、特に明確な意図というものはなく、何となしに書いてみたいと思います。「艦隊勤務雑感」という副題も、あえてそのままとさせていただきます。むろん、艦隊勤務を本望として20年間生きてきた私のことであり、主に艦「ふね」(以後「艦」と「船」がごちゃごちゃに出てまいりますのであしからず)や海上自衛隊にまつわることでお話を進めたいと思っております。

今回の震災においては、16年前の阪神・淡路の時に比べて、被害はより大きく甚大なものでしたが、自衛隊の出動においては官民双方の準備がそれなりにできていたこともあり、立ち上がりの際から効果的に実施されたような印象を一市民として抱いております。しかし、現地で救援活動に当たっている方々(これは自衛隊だけではなく、警察・消防・自治体関係者、ボランティアの方々等)のご苦労は察するに胸が痛みます。

陸上自衛隊の活動については、みなさま日々目にされていることと思います。現在、一線で活躍されている部隊の東北方面隊の指揮官である「東北方面総監」、また、機動的に活動している空挺団などを運用している「中央即応集団司令官」(陸上自衛隊で唯一司令官という名称のポストです)は、ともに私の同期生でもあり、その苦労も察するに余りあるところです。しかし、このコラムは「海軍におけるマネジメント」が主題でもありますので、今回は被災されたみなさまの状況に思いを致しつつ、あまり報道等では目立つことのない、海の上でどんなことが起こるのかについて、私の知る範囲のことで書いてみたいと思います。

まず、地震や台風などがあった場合、艦乗りであった私がまず考えることは、「すぐに出港する」ということです。通常、災害があると家に帰ってくるのが父親ですが、自衛官の場合は家を飛び出していくのです。特に、艦(船)は、今回の津波被害の状況でもわかるとおり、台風や津波の際は、救援の意味もありますが、艦(船)を守る意味からも、基本的には港を飛び出していきます。その際に、救援のための食料や物資をどれだけ積み込めるのかというのは時間との闘いとなります。私が今でも尊敬している若い時にお仕えしたKさんという艦長(昭和1978年1月に発生した伊豆沖大地震の際に輸送艦の艦長として孤立した伊豆の沿岸の町の救助活動に当たった方でした)が、口癖のように言っていたのは「自衛艦というものはいつ何時たりとも、速やかに出港すべし。ないものは後で積め、米と味噌だけがあれば急場の人は救える。」と言って、援助物資が足りないとか、自艦の糧食が不足しているなどという声を一喝していました。

艦とヘリコプターの燃料については、どんなに長い航海の後でも、入港した時点で即搭載というのが常識なので、海上自衛隊の艦で、修理中でもない限り燃料、真水が不足していることはあり得ませんが。

私が過去に直接体験したのは、1986年11月の伊豆大島三原山の噴火でした。多くの艦が横須賀を緊急出港し、伊豆大島周辺に展開して島民の避難を援助しました。この際は、直接たくさんの死傷者が出たということではありませんでしたが、孤立した島から速やかに島民を避難させるという状況であったわけです。ただ、それ以前の1983年の三宅島の噴火等におけるさまざまな活動がありましたが、私が聞き及んだところでは、艦(船)というものは、まず現場に急行して危機に瀕していると感じている人々にその姿を見せることが大事だということです。

「艦には、寝床も、食料も毛布も、お風呂だってありますよ。いつでも迎えに行きますよ。」というメッセージになるということだそうです。もちろん、実際に、艦に迎えて別なところに送り届けることもやっております。今回の震災でも孤立した沿岸の集落の保育園生と母親、職員など20数名を、海上自衛隊の「さみだれ」という護衛艦が洋上から搭載艇で救助して艦内に収容し、二晩を過ごしてヘリコプターで避難所に送り届けた、というニュースも流れていました。

現在は米海軍の空母とともに、50隻近くの海上自衛隊艦船が福島から三陸沖に展開しているそうですが、今後の大きなミッションは、一度海に沈んだ遺体が浮揚してくるところを見つけることなんだそうです。一定時間が経過すると遺体はまた沈んでしまうので、昼夜を分かたず捜索をしなければならないようです。今回は(も)、「海軍におけるマネジメント」というテーマからは外れておりますが、未曾有の震災直後に私の感じたままを書かせていただきました。実際の活動の詳細は後刻明確にされると思いますので、また、関心のある方は後ほど私にご連絡ください。

▽最後に・・・▽

皆さま、いかがでしたか?

来月もまた、充実した内容を皆さまにお届けしたいと思います。

是非お楽しみに・・・。

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