第10回:再びサイレントネービー « 個人を本気にさせる研修ならイコア

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パートナーコラム 紺野真理の「海軍におけるマネジメント」
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第10回:再びサイレントネービー

※このコラムは、弊社代表紺野が海上自衛隊時代、艦隊勤務を本望として20年間生きてきた経験の中で見聞きしたことを書いたものです。10年以上前に、ある団体の機関紙に数回に分けて掲載されたものを、今回いくつかの加筆、修正をして掲載しているものです。記載内容の時代背景等、現在のものではないことを予めお断りしておきます。

再びサイレントネービー
 
 以前に書いた「サイレントネービー」の部分について補足させていただきたいと思
います。先の文章では、サイレントネービーという言葉がどちらかと言えばよい意味
でみなさんに伝わっているように思います。

 とにかく戦後の風潮として、旧軍のことを語る際に、海軍=善、陸軍=悪、という
偏見があるようにも思います。歴史上の事実の中にはいろいろなものがあって、そう
いうとらえ方のできるものもあります。しかし、日本の政治外交史を真撃にふりかえ
ってみれば、そのような割切り方はできないとも思っております。私が書こうと思っ
たのは、そもそも海軍の賛美ではなく、海上自衛官と陸上自衛官の防衛庁勤務に対す
る取り組み方の違いに象徴されるように、海上自衛隊には旧海軍から引きずっている
サイレントネービーという言葉に象徴される逃げ腰の体質、もしくは無責任な体質が
存在する、ということなのです。私自身、陸上自衛隊の関係者から、評論家みたいな
ことを言うな、とか、いったい海上は何をしたいのか、などと言われたことがよく
あります。特に、私が人事課で制度を担当していたこともこんな経験を数多くした
一因であると思います。人事制度は基本的に三自衛隊共通なので、何を決めるにし
てもコンセンサスをとる必要があります。海上自衛隊の中で案件がトップまで上がっ
ていく過程で、そのような体質を痛感したこともありました。

 青山学院大学国際政治経済学部教授の池田清氏(海軍兵学校卒、終戦時海軍中尉)
が著書「海軍と日本」(中公新書)の中で、「短剣と白手袋に象徴されるスマートな
清潔さの奥に潜む、このずるさと無責任さ、ひよわさには、明治以来の日本の知識人
一般と、相通ずるものがあるように思われる。底光りのする陸軍兵のゴボウ剣と、
装身具にすぎなかった海軍士官の短剣。この対照は、農村日本に深く根を張り、日本
帝国のリーダーと自負した陸軍と、国民から浮き上がってきれいごとの西欧化に終始
した海軍との相違を、鮮やかに象徴している。」と、序文に書いています。

 

 ▽次号では・・・▽
 皆さん、いかがでしたか?楽しんで頂けましたか?
 次号からは、海上自衛隊退職後19年が経過した現在の紺野が思い起こして感じて
 いることを掲載していきたいと思います。「艦隊勤務雑感」という副題もあえて
 そのままにさせていただきます。
 次号は、~「号令」に見る組織文化 ~ です。
 皆さん、是非お楽しみに・・・。

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