第11回:組織文化 « 個人を本気にさせる研修ならイコア

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パートナーコラム 紺野真理の「海軍におけるマネジメント」
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第11回:組織文化

※以前書かせていただいた「海軍におけるマネジメント(艦隊勤務雑感)」を復刻版としてメルマガに載せてみたところ、意外にもご好評をいただいたため、今回から15年前に書いたものではなく、退職後19年を経過した現在の私が思い起こして感じていることを書かせていただきました。

これまでのものと同様に、私のわずかな経験の中で見聞きしたことを、特に明確な意図というものはなく、何とはなしに書いてみたいと思います。「艦隊勤務雑感」という副題も、あえてそのままとさせていただきます。むろん、艦隊勤務を本望として20年間生きてきた私のことであり、主に艦「ふね」(以後「艦」と「船」がごちゃごちゃに出てまいりますのであしからず)や海上自衛隊にまつわることでお話を進めたいと思っております。

「号令」に見る組織文化

一昨年、日経新聞のコラムにも掲載されたのでご存知のむきもあるかと思いますが、3つの自衛隊を比較した言葉(八文字熟語)がというものがあります。これらは作者不詳で、細部の言い回しは伝え聞いた人によって多少の違いがあるようですが、とりあえず。

用意周到      頑迷固陋 : 陸
伝統尊重(墨守) 唯我独尊 : 海
勇猛果敢      支離滅裂 : 空

なかなか「言い得て妙‥‥」という感じがいたします。

私が防衛庁(現防衛省)で人事の仕事をしているとき、この3つの言葉の話が出た際にある内部部局(内局と言われる文官の官僚組織)の優秀な若手官僚さんが、「紺野さん、内局にも同じものがあるのを知ってますか‥‥」と言って教えてくれたものがありました。あくまで、半分は冗談として読んでいただきたいのですが、彼は、こう言っていました。

文民統制 本末(主客)転倒

よく、メディア等で「制服組と背広組の確執」などという見出し(?)でシビリアンコントロール(文民統制)について、興味本位で書かれているものがあります。それらもどうかと思いますが、内部でもこのように自分たちのあり方を揶揄する向きもあるということです。私自身、制服組の一人として、背広組の官僚さんたちに対する違和感や反感などはほとんどなかったというのが本音です。キャリア官僚の中でも優秀な人たち(当時の上級職公務員試験の上位合格者)の中で、大蔵省や通産省、建設省、運輸省(当時)など一流官庁に入省できるところを、敢えて防衛庁という当事で言えば二流半、あるいは三流とさえ言われる役所に入って来る人たちがいることに私は少なからず驚きました。彼らに「何で防衛庁なんかに来たの」と聞いたところ、反対に「何で紺野さんは防衛大学校に入られたのですか‥‥」と聞かれてしまいました。彼らからは「ぼくらもこの仕事がしたくて入ったのです、同じことですね」と言われてしまいました。

志の高い人というのはどこにでもいるものなんですねえ‥‥!

陸、海、空というこの3つの組織は、その成り立ちからしてそもそも違っており、今日の組織内での役割も異なるため、その文化たるや大きく違ったものがあります。陸上自衛隊というのは、戦後、警察予備隊といって発足したこともあり、また戦前の陸軍の専横というものに対する反省の上に立ったこともあり、基本的には米国陸軍式でスタートしています。これに反して、海上自衛隊では、艦艇勤務の特殊性ということもあってか、また米海軍が米国式を押し付けなかったため、その生活様式のほとんどが、旧帝国海軍の様式でスタートをして現在に至っております。

私たち防衛大学校において4年間の教育を受けた者にとって、その違いというものが非常に強く感じられたものでありました。敬礼の仕方、歩き方、言葉遣いまで種々の違いがあります。防衛大学校は、基本的には全寮制の大学といったイメージで捉えていただければ良いと思いますが、その生活パターンは全て陸上自衛隊のものが採用されています。ただし、着ている制服は昔の旧海軍兵学校と同じような詰襟のネイビーブルーのジャケットなのですが。そこに、旧陸軍士官学校や海軍兵学校出身のそれぞれの幹部が指導教官として配置されていたため、さまざまな笑い話のようなことが日常見られることになったということです。私たちの在学中は、旧陸士、海兵出身の教官は数えるほどしかおられませんでしたが、その伝統を受け継ぐ、防大出身、一般大学出身の指導教官たちがたくさんおられました。

そのため、私たち海上自衛隊に進むことになっている海上要員にとっては、夏期休暇前に行なわれる護衛艦実習や航空実習に出た際には、驚きの連続と言ったところでした。その中でも、自衛隊らしさを象徴する「号令」というものには、特に組織の文化や伝統を考える上で特異なものがあると思われます。

次回は、この「号令」について書いてみたいと思います。

▽次号では・・・▽

皆さん、いかがでしたか?楽しんで頂けましたか?

自衛隊である以上、陸も海も空も、ベースとなるものは同じと思っていましたが、全く違うんですね。次号は、 「号令」 です。「号令」は、陸・海・空でどのように異なるのでしょうか?

皆さん、是非お楽しみに・・・。

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