第22回:命令と服従 « 個人を本気にさせる研修ならイコア

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パートナーコラム 紺野真理の「海軍におけるマネジメント」
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第22回:命令と服従

※以前書かせていただいた「海軍におけるマネジメント(艦隊勤務雑感)」を
復刻版としてメルマガに載せてみたところ、意外にもご好評をいただいたため、
退職後19年を経過した現在の私が当時を思い起こして感じていることを書かせて
いただきました。これまでのものと同様に、私のわずかな経験の中で見聞きした
ことを、特に明確な意図というものはなく、何となしに書いてみたいと思います。
「艦隊勤務雑感」という副題も、あえてそのままとさせていただきます。
むろん、艦隊勤務を本望として20年間生きてきた私のことであり、主に艦「ふね」
(以後「艦」と「船」がごちゃごちゃに出てまいりますのであしからず)や
海上自衛隊にまつわることでお話を進めたいと思っております。

私が防衛大学校に入って間もない1学年の時であったと思います。防衛大学校に
しかない「防衛学」というカテゴリーの授業のひとつに、「命令と服従」というもの
がありました。私は、自衛隊という組織の幹部になることを期待されている学生に
対して、このような課目があることにさほどの疑問も持たずに教室に入ったことを
記憶しています。しかし、その授業の中での話は私にとって驚くものでした。今とな
ってはノートもテキストも残っていないので、表現が正確でないことはご容赦いただ
くとして、大筋、次のようなことが教官から語られました。
「命令に服する者には、その命令に明確な合法性があること、更に、組織としての
目的に対する適合性があることが認識されない限り、服従してはならない」という
ものでした。私達は、「どんな命令であっても、上司の命令である限り服従すべき」
というようなことを暗に予期していたためと思われますが、非常に驚いたことを覚え
ています。学生の中から当然のように質問が出ました。

「『戦前の軍隊では上官の命令は天皇陛下の命令である』といったことが言われたの
ではないですか?」
すると、教官の口からは、「そうらしいな、俺は知らないけど、そんなことが言われ
ているな。もしそれが事実だとしたら、そうだから日本は戦争に負けのではないか…」
という言葉がいとも簡単に出てきました。後になって考えてみれば、当然のことかも
しれません。近年では、「コンプライアンス」などということが盛んに語られるように
なりましたから、誰もがそのことを意識していると思います。しかし、私たちが若い頃
の日本では、いえ、日本だけではありませんね、多くの国々においても上位者の指示、
命令に、盲目的にではないものの、仕方のないこととして従ったことにより、当人が
大きな罪に問われたということが如何に多かったかということが、事実として挙げられ
ることと思います。
そうは言っても、みなさんは自衛隊という組織においては、誰もが命令には忠実に
従うものと思っていませんか…。よく、上位下達の厳しい組織のことを、
「軍隊のような組織」などと言われることがありますよね。自衛隊は軍隊ではないから
などという詭弁(?)を弄するわけではありませんが、実際はどうなのでしょうか。
私の経験上から言えば、「自衛官であるからこそ、上司の命令には安易に従おうとはし
ないもの」ということが言えると思っています。
その理由は次号にてご説明させていただきます。

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