第18回:責任の重さの違い « 個人を本気にさせる研修ならイコア

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パートナーコラム 紺野真理の「海軍におけるマネジメント」
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第18回:責任の重さの違い

※以前書かせていただいた「海軍におけるマネジメント(艦隊勤務雑感)」を復刻版としてメルマガに載せてみたところ、意外にもご好評をいただいたため、退職後19年を経過した現在の私が当時を思い起こして感じていることを書かせていただきました。これまでのものと同様に、私のわずかな経験の中で見聞きしたことを、特に明確な意図というものはなく、何となしに書いてみたいと思います。「艦隊勤務雑感」という副題も、あえてそのままとさせていただきます。むろん、艦隊勤務を本望として20年間生きてきた私のことであり、主に艦「ふね」(以後「艦」と「船」がごちゃごちゃに出てまいりますのであしからず)や海上自衛隊にまつわることでお話を進めたいと思っております。

今回は、海軍におけるマネジメントとはやや話がそれるかもしれませんが、私の原点とも言える体験について書かせていただきたいと思っております。私の学生時代に話は遡りますが、防衛大学校では昔から「靖国行軍」なるものが続けられています。現在の4学年が54期生だと思いますが、彼らの中でも続けられている伝統行事となっています。(ちなみに、私は20期生です)何をするのかというと、土曜日の昼食後(当時は土曜の午前中は授業がありました)の午後2時くらいに学校を出て、徒歩で翌日朝に靖国神社に到着して参拝をさせていただく、というものです。私たちの頃は、まさに陸上自衛隊の服装をして重い半長靴を履いて歩いたのです。一睡もすることなく歩くわけですから、いかに18歳から22歳までの若者といっても、それは、それはきついものであった事を思い出します。私は2学年の時と4学年の時、都合2回参加しました。実施するのは各中隊(寮のフロアで区分されています)単位で4学年が参加者を募って、10名から20名くらいの単位で、あくまで自主参加として行っていました。最近クラブのOB会に参加すると、「私すでに5回行ってます」などという現役のツワモノ学生に出会って驚かされたこともあります。

最初に2学年の時に参加したときには、それはきついものではありましたが、「きつい、きつい」「ねむい、ねむい」と言いながら、多少は後輩の1学年のことを気にしていたことは覚えていますが、取りあえずがんばってきたという事で終わり、それなりの達成感を持てたことを記憶しています。

ところがその2年後、4学年になって行った際には大変な思いをしました。4学年3名で15名くらいの1、2、3学年を同行して出発しました。すでに一度経験済みということもあり、最初は意気揚々としたものでした。不安な表情を見せる初参加の下級生に、「大丈夫だよ、たいしたことないから‥‥」などと元気付けてもいました。しかし、しかしなんです‥‥、時計の針が深夜12時を回る頃になって、場所はすでに横浜から川崎近くになっていたことと思いますが、疲労感が前回と大きく違うことに気付きました。前回のときとは異なり、本当に疲れているということを感じたのです。そんなときに、下級生の中に、「足が痛いので、靴を脱ぎたい」という者が現れます。靴を脱がして足を見てやると、ひどいまめができており、これは本当につらそうです。彼の荷物は手分けをして持つにしても、足を引き摺りながら歩く姿は本当に痛々しいものがありました。更に、次の小休止で、別の1学年が、「お腹が痛い‥‥」などと言ってくるではないですか。計画段階で、多少の余裕は取っており休むことはできますが、参拝をお願いしている時刻にあまり大きく遅れることは許されません。

体力の残っている者に背負わせることも可能でしたが、背負ったまでは良かったものの、進行速度は極端に落ちることになりました。そんなこんなと悪戦苦闘しながらも、何とか大きな遅れもなく目的地である靖国神社に朝7時くらいには到着しました。その際、自分自身本当にへとへとになっていたことを記憶しています。靖国神社では、前回同様、東京の足立区で自動車屋を営む私の両親が、店の者を連れて、全員分の朝食であるおにぎりや味噌汁を用意して待っていてくれました。まずは、下級生におにぎり、味噌汁を配り終えて自分たちも食べようとおにぎりに手を伸ばしたところ、父が寄ってきて、「おまえ、前のときより数倍疲れてるな‥‥」と言われました。「わかるの‥‥?」と聞いてみたところ、「神社に入ってきたときの足取りもさることながら、目に出ている」と言われました。そして、更に「軍隊みたいなところで人の上に立つとはそういうことだ、それを今感じられて良かったんじゃないか」と言われました。さすがに、陸軍の兵隊であったことを自負する父の言葉を重く受け止めるとともに、立場の違いにより肩にかかる責任の重さというものを痛感したものでした。

▽最後に・・・▽

皆さま、いかがでしたか?

来月もまた、皆さまのお役に立てるような内容をお届けしたいと思います。

是非ご期待ください。

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